縄文土器 驚異の造形!

世界最古の土器、14000年以上古くから作られてきた縄文土器。

この土器は、当然、実用品、道具として開発されたもの。
だから、すべての縄文土器が優れた造形品というわけではない。
その中で、人間の思念が、より強く盛り込まれたものほど、より心打つ逸品となる。

天然、自然に発生する様々な現象に対する恐怖、畏敬の念、何とかこれをコントロールしようとしたところから発生した呪
術。
そして呪術に使う道具のような、兎に角、何らかの人間の思念を盛り込もうと企てたものは、世界中で、古くから、造りつ
ずけられてきた。
然し、近代になるまでの長い間、これらはすべて、天然・自然に存在するものを基とした。

唯一の例外が、縄文土器。

縄文人のみが、数千年前に、既に、人間の情念・思念を抽象化するという大発明をしている。



* 上の写真は、文様を見やすくするために加工してある。実物には、この様な色はついていない。

加えて、その造形にみなぎる強烈な力は、現代においてさえ、世界に稀なものといえよう。


「ニューヨークの近代美術館のど真ん中に、縄文土器の逸品を、山済みにして展示したらどうだろうか。驚異の展示にな
ると確信する」、てな事を、いきまいていたら、「岡本太郎の受け売りか?」とやじられた。


寡聞にして、岡本太郎が縄文に注目していたことを全く知らなかった。なんたること。
まあ、今迄、縄文土器なんて視野に入っていなかったのだから、仕方ないよね。

急いで、上野に見に行ったが、あいにく、太郎の火炎の展示は無かった。その代わり、彩色土器にお目にかかった。こ
んなものが、何千年も前に造られていたとは!





「日本の伝統」(岡本太郎)、第2章 縄文土器ー民族の生命力の岡本敏子氏の後書き解説によれば、1952年に縄文
土器論が発表され、日本の歴史の見方を一変させたそうだ。いかにも、岡本太郎が始めて、縄文土器の美を発見した
かのようだが、おこがましいにも程がある。

誰が見ても縄文の美、力には慄然とするのだから。

単に、太郎が大げさに大声を上げたに過ぎない。現に、岡本太郎の作品など、全作品を持ってしても一個の縄文土器にかなうものではない。画にしろ彫刻にしろ、肩に力ばかり入って、力みかえってただけの、隙だらけの、空けすけのものでしかないじゃないか。


最近、大阪の万博記念公園のホテルに泊まった。最上階の部屋、早朝、未だ薄暗い中、霧の中に立っている太郎の太
陽の塔は、ミニュチュアのようで良かった。
然し、本来、こういう塔は、近くで見るもんだろう。近くで見ると、どうもにも力がない。特に左右に張り出した腕?の鈍さ。
ここが太郎の腕力のなさ?
要するに、ミニュチュアを作り、それをモデルに造形するからこういうことになる。


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