縄文の神 (2) 河童 月の神




縄文の土偶は、裏面に怖ろしい形相を刻んでいるものが多く見られるが、一方で頭上に異様なものを頂いているものも
散見される。


井戸尻には、頭上に蛇を持つ土偶があり、又、尖石の通称、縄文のビーナスの頭の文様も奇妙だ。このタイプは、すべ
て、蛇を表していると云われている。  即ち、蛇神。



     井戸尻遺跡                 尖石遺跡      中期後葉長野県・黒田大明神原遺跡24cmH




そして、千葉県・余山貝塚出土の後期・土偶は、さらに異様な文様を頭上に頂く。




この土偶は、目と鼻が省略された、極めて簡略化された顔しか持たず、あくまでも、頭上に頂くものが主体。

そして、この中心のパターンは?

ネリー・ナウマンによると、後期の土偶に特徴的な二つの三日月をX型の交差する線で繋げた文様の変形か、若しく
は、四つの月の形を併せたものだとのこと。

左の土偶の胸の文様も、その典型的な例の一つで、東京都・東山貝塚出土。右の晩期・長野県・館遺跡出土のものも、
よく見るとX型・交差線の両側に三日月を抱いている。

即ち、これらは月の神の象徴だという。

中期、関東甲信越地方に現れた蛙の姿をとる月の神とは異なる月の神の姿。



三日月を意識した文様若しくは、その変形を持つ土偶は、後期から晩期に多くみられるという。
下の三体の土偶の肩乃至は袖から胸へのラインも三日月だとするが、これはちょっと疑問。


晩期・岩手県・いこくつなみ貝塚 晩期・秋田県・鐙田遺跡 22.2cmH 晩期・山形県・釜淵遺跡23cmH




むしろ、通称、ミミズク形土偶の胸乃至は腹から続く、半円弧が変形したものではないか。
もっともの半円弧自体が三日月だというなら別だが。


後期・茨城県・御所内遺跡17.8cmH    後〜晩期・栃木県・後藤遺跡12.4cmH   後期・埼玉県・真福寺貝塚20.2cmH

後期・千葉県・長者山貝塚     後期・群馬県・千網谷戸遺跡



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