縄文の土偶は、裏面に怖ろしい形相を刻んでいるものが多く見られるが、一方で頭上に異様なものを頂いているものも
散見される。
井戸尻には、頭上に蛇を持つ土偶があり、又、尖石の通称、縄文のビーナスの頭の文様も奇妙だ。このタイプは、すべ
て、蛇を表していると云われている。 即ち、蛇神。
そして、千葉県・余山貝塚出土の後期・土偶は、さらに異様な文様を頭上に頂く。
この土偶は、目と鼻が省略された、極めて簡略化された顔しか持たず、あくまでも、頭上に頂くものが主体。
そして、この中心のパターンは?
左の土偶の胸の文様も、その典型的な例の一つで、東京都・東山貝塚出土。右の晩期・長野県・館遺跡出土のものも、
よく見るとX型・交差線の両側に三日月を抱いている。
即ち、これらは月の神の象徴だという。
中期、関東甲信越地方に現れた蛙の姿をとる月の神とは異なる月の神の姿。
三日月を意識した文様若しくは、その変形を持つ土偶は、後期から晩期に多くみられるという。
下の三体の土偶の肩乃至は袖から胸へのラインも三日月だとするが、これはちょっと疑問。
むしろ、通称、ミミズク形土偶の胸乃至は腹から続く、半円弧が変形したものではないか。
もっともの半円弧自体が三日月だというなら別だが。
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