縄文動物土偶 不可思議動物 尽きぬ謎!


縄文の造形の中で、各種の動物を表現したものは、これ又、非常に特異なものである。

勿論、悠久、1万年とは言わなくても、少なくとも千年単位の時空の流れの中での遺品を見るわけだから、一括して論じる
わけには行かない。

例によって、縄文人は、何を表現するにせよ、そのものずばりではなく、必ず、デフォルメし、抽象化し、何らかの変化・
変形を加える。

その中で、比較的素直な表現がされるのが、古来、どの民族でもカミとされる蛇。
脱皮して、生まれ変わり、永遠の命を持つとされた蛇族。

善と悪が表裏一体。時には、突発的な激痛を伴う死をもたらし、時には、害獣も駆除する。





壷の把手を飾る蛇は、蛇神そのものか、蛇巫(ヘビカンナギ)の象徴か。

とぐろを巻いてしずまり、のたくり、そして跳ぶ姿を抽象化すれば、即ち、渦巻、波紋文様となり、自らの尾を呑む円を作
るユングの原蛇、ウロボロスとなる。

蛇神は、水神となり、海神になる。さらには、生命誕生の神、万物創生の神へ。
日本古来の神、「チ」、例えば、水霊-蛟-ミズチ、そして、八岐大蛇、ヤマタノオロチの「チ」。
そして、「ミ」、例えば伊邪那美-イザナミ、そして、大山津見ーオオヤマツミの「ミ」。
果ては、人間の神によって、魑魅魍魎と悪の神にまで貶められた。


上の吊手形土器。

顔を出しているのは、人それとも、縄文独特の不可思議動物?
目を閉じている。通常は死人の態。
これに、ひそかに忍び寄る蛇、それとも、既に、獲得した獲物を守っているのか、それとも、守護霊の蛇なのか。蛇として
のデフォルメは無く、素直な形。



然し、蛇だって、変態する。
縄文の蛇は龍にはならなかったが、もっと奇妙なものに変わった。





そして、比較的、原型が想像できる土偶達。



こういった土偶は、そのグループのトーテム、カミ?
右下の海獣の土偶は、土笛。


一方、デフォルメされ、原型が確定しにくい土偶達。 創造された不可思議動物。

美しい彩色が残っている、この造形は?水鳥が着水しようとしているところだというのだが?


これは何?一見したら鳥みたいだが、立ち上がらせると、アザラシのような海獣にも見える。


こうなると、最早、不可思議動物としか言いようがなくなるだろう(14.2cm)。


これらの不可思議動物土偶には、小さな穴が開いている。
これは、土笛の吹き口や指孔。オカリナのような優しい音がするという。

最後は、亀?



そしてこの生き物達は?


縄文土器の文様の基本は、植物。
草・木・樹・林・森すべて、精霊、或いはカミ、又はその寄り代として崇めていたであろう。

このような造形を見ると、動物からよりも、むしろ、植物からよってきたものという感じがする。
水面に散って流れる柳の葉が、流れに逆らって泳ぎだしたと思うや、きらっと身を翻して深みに消え去るなにものか。

蛇だとすれば、「ツチノコ」なのだが。

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