長野地方に出土する神像形土器、異型の裏面造形を持つ釣手土器をもって、縄文土器は画期的な段階に入ったとい
える。 即ち、思念の具象化。
縄文土器には、先ず、最初に、アニミズム的なデザインが現れる。
蛇、マムシ、猪、フクロウ、蛙、などの形に自分の思念を託そうとする。世界中にある、最も普遍的な素朴な発想。
天然・自然に存在するものの力を借りようとしたものにしか過ぎないというものの、縄文独特の面白いデフォルメは注目す
べきであろう。
そして、ついに、Breakthrough、思念の抽象化の域にまで到達した。
新潟地方の火焔、長野・山梨地方の水煙に代表されるものだが、各地に同じ発想が伝播している。
これらは、アブストラクト・アート、抽象芸術として、世界最初のものであると共に、最も成功したもの、極言すれば、世界
で、唯一成功した抽象芸術。
これも、縄文人が托そうとした思念が強烈、且つ、確としたものであったからに他ならない。
縄文人の激しい思いは、自己の思念を具象化し、呪(しゅ)の構造として新しいのカミの形を創造した。
かくて、宗教の創設。
皆さんは、「ピー」というのをご存知かな。
これは、タイの精霊、まあ、神様みたいなもんだけれど、どうも、ちゃんと付き合わないと災いをもたらすらしい。立派な教
育を受けた人が、「最近、どうもピーが出るらしい」等と真顔で怖がる。
我々、大方の日本人が、とっくに忘れて仕舞った民間信仰だけれど、地方に行けば、ナマハゲ、イタコ、オシラサマ、道
祖神、辻の神、塞の神、アラハバキなんていうのが立派に残っている。
全てのものに神が宿る、八百万の神。
我々は、最近何でも、自分達が作ったものだと勘違いしすぎている。
そして、この後、北の国では、芸術の華がひらく !!!
このページの写真の一部は、文様を見やすくするために加工してある。実物は、勿論、この様な色はついていない。
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