縄文の神秘 その5   胎児・再生?




色々な著書に紹介されている有名な絵がある。

長野県出土の土器の表面に描かれている。

埋甕に納められた骨から胎児が再生し、母親(地母神)の胎内に入り
再び、生まれてくるプロセスを示すものと言われている。


勿論、出産を示したものとの見解もある。)




富士見町・唐渡宮遺跡出土、64.5cmH 井戸尻考古館




このような状況を文様化したのではないかと思われる文様が、各地に見られる。

前出の多摩地域出土のもの、これに酷似した山梨県、鋳物師屋出土のもの。


     







晩期直後・神奈川県・中屋敷遺跡出土・土偶高26.7cm       中期・青森県石神出土・土偶高14cm               中期・青森県・三内丸山遺跡出土







後期・宮城県中新田町・十腰内式・土偶高19.5cm              後期・茨城県・小屋ノ内遺跡・15.6cmH              中期・青森県・三内丸山遺跡出土





これらの土偶をスライドショーでご覧いただきたい。





































「縄文宗教の謎」  吉田敦彦著より

縄文時代の終わりの時期に作られた土偶の中には、女神の、そのまるで人食いを思わせる様な不気味さと恐ろしさを、とりわけ迫真的に表現してると思われるものがある。それは晩期の最後の時期に、関東の西部から中部地方にかけての地域で作られた、怪奇と言うほかがないような容貌の土偶で、体内は容器のように、空洞になっている。神奈川県足柄上郡大井町の中屋敷で発見された、この型の土偶の体内には、赤ん坊の骨が入っていた。又胴体につけられた文様は、死者の行く他界にほかならぬこの女神の子宮と、そこに至るための道を表わしているように見える。

これらの土偶について、考古学者の水野正好氏は、次のような解説をされている。

「座りの良い底を持ち、特異な表情の顔、下げた両手、垂れた乳房を持つ土偶がある。中空につくられ、容器形土偶と呼ばれる。発掘時、土偶の付近には骨片や歯牙が発見され、土偶の胎内にも初生児骨や歯が納められていたと言う。
ふつう骨壷のように考えられているが、むしろ、母なる女の死と共に甦るもの−新生すべきものとして、
現実の新生児が殺され、土偶の甦る子としておさめられたものではないか」。

この見解には、疑問がある。縄文時代の平均寿命の短さ(35年)や出産時の死亡率の高さから考えると、新生児は宝物のように考えられていたはずで、その宝物を意図的に殺すとは考えられない。



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