縄文の世界   尖石縄文考古館 (11)  青春の縄文



五十三年前の初夏、昭和二十九年(1954)七月二十六日、諏訪清陵高校生7名、岡谷東高校生6名の地歴部員が尖石遺跡の発掘を手伝った。その日は、三笠宮殿下も調査に参加しており、発掘後に高校生13人、遺跡発掘に尽力した宮坂英弍さんと共に記念撮影がされた。




下段、右端、故宮坂英弍氏。なお、宮坂英弍氏は、私財をなげうって、三十年の長きにわたり尖石遺跡周辺の遺跡を発掘された功労者。

当日の模様を伝えたローカル紙面。






2000年夏、茅野市5000年祭が行われたが、その際、茅野市尖石縄文考古館の改築開館に際して、七月二十日、46年前の発掘に参加した諏訪星陵高校、岡谷東高校の旧地歴部員の内、11名が再会し、三笠宮を交えて写真撮影した33号住居跡で記念写真を撮ったりして、汗まみれ泥まみれになって発掘した青春の思い出を語ったという。





故宮坂英弍氏銅像前




新装成った尖石縄文考古館のロビーで




なお、七月二十日の「尖石縄文考古館オープニングフェスティバル」のオープニング式典では、「縄文のビーナス」を発見した故関喜子さんの詩、「縄文のビーナス」が、千人のコーラスで合唱された。



縄文のビーナスと呼ばれる土人形の貴方
淡い光を浴びて
赤い絨毯の上に静かに立っているあなた

あれはタデの花が赤く咲き盛っている秋でした
あなたは縄文の村の真ん中に
冠をほんのちょっぴり覗かせて眠っていました
四千年の昔から甦りたかったであろうあなた
あなたの冠の土を静に掃ってあげました

柿の種の形をして釣りあがった目
その目と先ず見つめ合ったのは
まぎれもなく私のこの目でした
竹べらに全神経を集め掘り急ぎました

胸のオッパイにこの手が触れた時
私の血潮が音をたてて
あなたの身体に流れるのを覚えました
赤ちゃんを宿す大きなお腹
ハート型のお尻

秋の陽が沈まむとする
夕焼の光の中で
四千年の過去を語りかけるその貌

タデの花が真っ赤に燃えて
陽が沈みかけた時
あなたはこの地上に甦ったのです

平成五年九月 関喜子




1986年、茅野市米沢の棚畑遺跡で、「縄文のビーナス」を発見した故関喜子さん、又、詠じて曰く、

竹べらに心を集め掘る土偶 目鼻ととのい胸ふくよか
                     昭和61年9月8日


世の中には、こういうとてつもない幸運に恵まれた人もいるのだね。







なお、これらの貴重な資料は諏訪清陵高校地歴部員だった故味沢氏の一周忌にあたり、令夫人よりご提供いただいた。


味沢氏が、青春の思い出に大切に保管されていた黒曜石・石器類。





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