縄文の神秘 (1)  男性神の誕生


縄文では、アニミズムからくる蛙神、蛇神等の系統と大地母神がはじめに生まれた宗教。
何れも、女性が女巫(カンナギ)か神そのものとして、中心である。



中期以降、ファロスそのもに変化した石棒が現れ、男性の「性」に基づく祭式に使われたと想像される。

即ち、男性神の誕生。

少年たちを苦痛を与えたり、厳しい試練を課したりしながら教育し、成長を遂げたものの最後の関門、成人の祭り、成人式で、これらの特異な祭器が使われたのであろう。





何れも、後期ー晩期、東日本の品。



先史時代から、世界のあらゆる地域で存在するファロス信仰
生命の源にして、男らしさ、勇気、力強さの象徴であるファロスが神の象徴として祭られてきた。




そして、メラネシア
注1の原住民の間に、男性器、特に精液が絶大な力を持つという信仰がある。
少年を大人にする為には、精液が決定的な力を持つと信じられていた。

少年を成人にするためには、精液を体内に大量に入れてやることが必須だと考えられ、実行されてきた。

「成人式の間に、大人が同性愛的な交合によって、少年たちに精液を与えてやる儀式は、メラネシアの原住民、トライ
族、キワイ族、ケラキ族、マリンド・アムニ族等の間で、広く行われている。
「そんな、自然に反する行為を、あなた方は行ったのか」と質問すると、異口同音に、「当たり前じゃないか。そうでなけ
れば、自分達は一体どうやって、大人になれたのか」と答えたと報告されている。     「縄文宗教の謎」 吉田敦彦




同じ信仰が、同じ儀式が、縄文時代、後期から晩期、全国的に存在した。

特殊な形状を持つ注口土器が各地で出土しているのがその証拠。





この角度から見ると、なんと。











青森県・青森市・玉清水遺跡・青森県立郷土館・風韻堂コレクション・20cmH





次は、島根県・頓原町・板屋III遺跡出土のもの。








そして、埼玉県・大宮市・小深作遺跡出土。








北海道・千歳市・美々4遺跡・北海道埋蔵文化財セ








宮城県・田尻町・中沢目貝塚・東北大学文学部考古学教室蔵








青森県・八戸市・是川中居遺跡・八戸市縄文学習館
これは、注ぎ口が欠落しているが。







青森、宮城、北海道のみならず、埼玉で、さらに遠く離れた島根でも、
同じデザインの注ぎ口を持つ注口土器が創られるという不思議。


まさに、縄文文化の神秘。



注1 メラネシア;パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー諸島、バヌアツの各国と、フランスの属領であるニューカレドニア島


トップへ
トップへ
戻る
戻る




1 inserted by FC2 system