何れも、女性が女巫(カンナギ)か神そのものとして、中心である。 即ち、男性神の誕生。 少年たちを苦痛を与えたり、厳しい試練を課したりしながら教育し、成長を遂げたものの最後の関門、成人の祭り、成人式で、これらの特異な祭器が使われたのであろう。
何れも、後期ー晩期、東日本の品。 先史時代から、世界のあらゆる地域で存在するファロス信仰 生命の源にして、男らしさ、勇気、力強さの象徴であるファロスが神の象徴として祭られてきた。 そして、メラネシア注1の原住民の間に、男性器、特に精液が絶大な力を持つという信仰がある。 少年を大人にする為には、精液が決定的な力を持つと信じられていた。 少年を成人にするためには、精液を体内に大量に入れてやることが必須だと考えられ、実行されてきた。 「成人式の間に、大人が同性愛的な交合によって、少年たちに精液を与えてやる儀式は、メラネシアの原住民、トライ
族、キワイ族、ケラキ族、マリンド・アムニ族等の間で、広く行われている。
「そんな、自然に反する行為を、あなた方は行ったのか」と質問すると、異口同音に、「当たり前じゃないか。そうでなけ
れば、自分達は一体どうやって、大人になれたのか」と答えたと報告されている。 「縄文宗教の謎」 吉田敦彦 同じ信仰が、同じ儀式が、縄文時代、後期から晩期、全国的に存在した。 特殊な形状を持つ注口土器が各地で出土しているのがその証拠。 この角度から見ると、なんと。 そして、埼玉県・大宮市・小深作遺跡出土。 北海道・千歳市・美々4遺跡・北海道埋蔵文化財セ 宮城県・田尻町・中沢目貝塚・東北大学文学部考古学教室蔵 青森県・八戸市・是川中居遺跡・八戸市縄文学習館 これは、注ぎ口が欠落しているが。 青森、宮城、北海道のみならず、埼玉で、さらに遠く離れた島根でも、 同じデザインの注ぎ口を持つ注口土器が創られるという不思議。 まさに、縄文文化の神秘。
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